「今になってそんな……馬鹿な。ここまでの苦労は一体なんだったと言うんだ!」


吉行にして見れば、苦節十三年。


正人の死刑を望み続けてきた彼にとって、根底から努力を覆される思いであった。

当然マスコミはこの二つのビッグニュースを併せて取り上げた。

しかし高裁での『無期懲役判決』の時のような関心の示し方はしなかった。



この五年間には世論が考え方を僅かに変える一つの出来事があったからである。