出産から八ヶ月。

詩織は日中、正人と逢う“いつもの場所”を変えていた。

吉行への愛は確固として保ちつつ、まるでもう一人の自分がいるかのように、頭と心を掻き乱すのであった。

普段の日中の自宅は詩織にとっては最低の場所であった。

ただ寝付きの悪い乳児が泣き叫び、どうしたらいいのかもわからずに耳を塞ぐ。

それに耐えかねてまた正人と薬の下へ向かうのだ。