勤務中にたまたま通りがかった商店街。

そこで小さな『雛人形』を見つけた。

何段にも重なり、何体もの人形が色とりどりな美しさを醸し出す大きな雛飾り……

それを購入する財力も、設置する場所も持つ彼であったが、彼の目に留まったのは違った。

お内裏様とお雛様……、

その間に小さな稚児(ちご)人形が置かれた、何とも変わった小さな雛飾りであった。