「私たちは、お腹空いちゃったから、何か食べてくるね!」


そう言いながら、森りんに瞳でエールを送った。
それをキャッチしてくれたみたいで、「良いかな?」と少し遠慮がちに聞いた森りんに対し、中田は頷いた。


私はその瞬間、よしっと心の中でガッツポーズした。


しかし、空気を読めないのが咲という女である。


「オレも射的いこ...」

「あーーー!お腹空いた。ジャガバタ食べたい!咲も食べたいって言ってたじゃん。ほら、そこで先に食べて、ゲームはあとからにしよう」


言葉を遮るようにして、大声を張り、急かすようにして咲の背中を両手でジャガバターの方向へ押した。


とりあえずこの場をやり過ごさなければと必死になる。


咲以外のみんなは、状況を把握したようで、森りんと中田に「またあとでな」と手を振り、射的とは他の方向に散って行った。


「ささ、我々も行きましょうねー」


納得していないままの咲の腕を引っ張って、森りんに小さく手を振りながら、私たちは人の波の中に入って行った。