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2時間半の演奏会が幕を下ろした。


フルートを吹きすぎて、手と口がしびれて辛かったというのが、正直な感想だ。


緊張の中ここまでぶっ通しで演奏したのは初めてだったから、いつもと違う筋肉を使ったのだろう。



でも何より、終わってスッキリして、心地がいい。



楽器を片付けていると控室のドアがノックされ、扉の近くにいた桜ちゃんが開けた。


森りんが顔を覗かせた。



「未沙、呼んでるよ」と桜ちゃんが手招きする。


ずっと前から演奏会の告知はしていて、観に行きたいとは言ってくれていた。


けれど、ここ最近の様子から来てくれないものだと思い込んでいたから、彼女の突然の登場に焦りを覚えてしまった。


久しぶりの対面は何だか落ち着かなくて、桜ちゃんに傍にいてもらいたい気分だったけど、森りんが「少しだけ2人きりで話せる?」と聞いたので頷いた。


「演奏、良かったよ」



廊下に出て、感想をくれた。


「観に来てくれてありがとう!」
私は思わず手を取って、ぎゅっと握った。


2人とも手の温度が低くて、緊張している気持ちは一緒なのかもしれないと思った。


「未紗ちゃんの真っ直ぐな音色を聞いて、決心したんだ」


「何を決心したの?」



急に頬が赤くなった。
どうしたのかな?って思っていると、「告白する」という言葉が次の瞬間に聞こえた。