「会長、」長谷川が試合前に話しかけて来た。
「なんだ。」
「時宮の事、好きなんだろ?」
「ッ!!」ビンゴだ…。
「やっぱり。バレバレだ。…コクらないんだ」
「うるさい。試合前だ。」俺があしらうと長谷川がニヤリと笑い
「じゃあ、俺がコクろうかな。時宮、可愛いし。」爆弾発言だ。
「黙れ。」俺自身、出した事の無いかなり低い声が出た。
…頭の片隅でこんな低い声が出たなんてびっくりしていた。長谷川は面白ろそうにまた笑い
「じゃあ、この決勝、時宮の告白権を賭けない?…互いにエースなんだし。…負けたら身を引く。どう?」…その勝負乗った。
「あぁ、構わない。…だが最後に決めるのは時宮だ。…それを忘れるな。」…こっちには切り札がある。…さっきまで、俺は本気を出していない。
俺は本来、スプリントタイプ…─短い時間だけならもっと運動神経が上がる。ただ最高心拍数が180を超えるから滅多に使わない─だが、今回は使わせて貰う…!!
決勝の火蓋が切って落とされた。