「それは、親だったら普通じゃないか?自分の子どもにあんなことされたんだ。…誰だって怒るさ。俺は親であると同時に〔時宮当主〕だから俺なりの報復しただけだ。」…もうひとつは〔当主〕だから下手な行動を起こせない。そんな心の葛藤があるみたい。一息入れて冬哉は
「書斎で書類仕事をしてるから何かあったら言ってくれ。」と言った。冬哉が書斎に行ってから雪奏の様子を見てみようと思った。
ー雪奏の部屋ー
まだ、寝ている雪奏を見てわたしは雪奏の頭を撫でてると雪奏が目を覚ました。
「起きたの?」とわたしが言うと
「うん。…喉乾いたから飲み物取ってくる」と言って部屋を出た。わたしも雪奏の部屋に一人で居ても仕方ないしリビングに行ってジュースを飲んでいる雪奏が
「黙ってたこと…怒らないの?」と言った。
「ううん。…冬哉やわたしに迷惑かけるって考えたんでしょう?」わたしが言うと雪奏はこくりと頷き、
「お父さんの仕事、困ってる人を助ける仕事なのに私が迷惑かけちゃあ駄目って思った。…それに私をいじめた子のお母さん、最後困ってた。なのに…」引き継いで、
「冬哉が融資切っちゃったから。でしょう?」と言った。
「あの子は知らなかったみたいだけど私はあの子のお母さんの仕事、お父さんが融資してるって知ってたから…言ったら絶対お父さん融資切っちゃう。そしたら沢山の人が困っちゃう。」