この時の冬哉の決断は正しく、何も知らない『一般人』の目の前で力を使う、という事は起こらなかった。
──数年後──
雪奏は他にも『聴覚』が優れていて、2度聞いたら全て覚えてる(絵本でも何でも。)ただ、人を覚えるのは少し難しいようで、その人の『声』と『足音』で一致する人を探すという荒業をやってのけた。
音楽系はフルート、ヴァイオリン、ピアノを、マスターして、武道は古武術の師範代試験に受かった。テレビで見ていたバトントワリングのドキュメントで見た技を傘で直ぐに出来ていた(落とすなんて真似をしないで、中学生が苦労して身に着けようとする技も数分間練習しただけで物にしたり、とか。)小学校の勉強でも、その力は発揮された。学校に通ってもテストで勉強しなくても90点後半は余裕。ちょっとノート見ただけで100点を取っていた。勿論成績はオールパーフェクト。そんな何もかもそつなくこなす。…そんなことがあり、学校の先生は
「私立の進学校など行けば雪奏ちゃんの才能をもっと伸ばせると思います。」裏では[うちでは面倒見切れない]と言われた。この事を冬哉に相談してみると、
「雪奏は8歳と言う歳にはちゃんと自分の事を決めている…だから雪奏に判断させてみないか?…それに力の制御は殆ど終了した。修行を怠らずこのまま〔成人の儀〕を迎えられたら一人で戦闘も直ぐに物に出来る。」冬哉はそう言った。雪奏の答えは…
「うん。行く。難しい事で勉強したい。」だった。