「ですが、今は龍を呼べるのは雪奏だけですよね?」
「それは、時代が経つにつれて血が薄くなっていたんだろう。…雪奏も先祖帰りであの力なのだろう。」そこで一旦切ると
「颯斗君。君に言っとくべき事がある。」…?
「何でしょうか?」
「別の文献にあったんだが、創設当時双子や三つ子が多く居たそうだ。それも直系は特に強い、とある。」冬哉さんの近くにあったまた資料館にありそうな古い文献だ。
「…あ、やっぱりそうなんですか。」俺は同じ日に雪奏と見た夢の内容を思い出していた。
「ん?知っていたのか?」意外そうな顔をしている。
「あ、はい。…実は以前、雪奏も俺も三つ子が出てくる夢を見た事があったんです。…異様にハッキリ覚えているのでもしかしたら、と考えて居たのですが、冬哉さんの話を聞いて納得しました。」あの時の幸福感を思い出して胸がホカホカと暖かくなった。
「では、覚悟はあるのだな?…今の医学でも双子以上になると厳しいものがあると、知っているのだろう?」
「はい。…ですが、俺は雪奏を信じます。…未来に出来る子どもと俺を雪奏が置いていく事は無いと。」冬哉さんはフッと笑った。
「まあ、それは俺もそう思う。」笑った感じが雪奏と似ている。……やっぱり親子だな、と思った。