急いで着替えて、俺の部屋から雪奏の気配を俺の持つ『風』を使い、探す。──一瞬、頭によぎった力の使い方。だが、

「見つけた!!」つい、大声を出してその場へ向かった。


雪奏が居る場所の近くまで来た。

…周りを見渡すとベンチに腰掛けてる雪奏を見つけた。

近くまで行き、

「雪奏。」と声を掛けながら後ろから抱き締める。

「…バカ。」ポツリ、と雪奏が言う。俺は離れないようにもっと抱き締める力を強くして雪奏の話しを聞く。

「ムリするなって言ったの誰よ。」

「ごめん。周りを見てなかった。」俺から離れないで──そんな気持ちで頭が一杯だ。

「私だって颯斗の事心配なんだよ?なのに…」途中から雪奏が涙声に変わる。

…泣かないで。雪奏の涙なんて見たらどうしたらいいのか分からなくなる。

俺は雪奏の前に回り込んで前から抱き締めた。