廊下を歩いていると、すれ違った男子を由里は目で追っていた。


由里はこの男子、祝原雅史に想いを寄せているというわけで。



「最近、雅史君と話せてないんだけど…ウザいって思われちゃったのかな…」


「そんな事ないんじゃないの?由里最近頑張ってたくさん話し掛けてたから、照れてるんだよきっと♪」


「えー…でも他に好きな人いるって聞いたし…」


「いつ由里に気が向くかは分かんないじゃん♪諦める事ないって!」



キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン



「あ、やばっ!授業始まったよ!!急ごう!!」




由里の手を引いて友梨は走り出した。

急いで教室に入る。



「遅いぞ、何やってたんだ」

「すみまっせーん!」





『アハハハ!!』




クラスの全員が笑う。

この時、隣で由里の妙な視線を感じたのは、気のせいだろうか……。