「たいしたことないな」
慶太がいった。

懐中電灯はサーチライトのように壁や地面を照らし、ずんずん進んでいった。

前を歩いていた慶太が足を止めた。

「なに? どうしたの?」
みなみがいった。

「見てみろよ」

慶太が照らした先に小さい人形がうつった。

全員言葉を失った。


ぽた……
ぽた……
ぽた……

水滴の落ちる音がしている。

私たちは大量に置かれたひな人形を目にした。

「うっわ。ヤバくねえかこれ……。なんなんだよ」
晃は恐る恐る人形に近づいていった。