「なんだろうなこれ」
晃がいった。

「なんか、不気味。ポツンとあるなんて、誰が建てたのかな」
みなみがいった。

慶太は手を伸ばし、石碑に触れた。

その途端。


ウー、ウー、ウー!
サイレンの音が部屋に響き渡った。

「空襲警報、空襲警報」


助けてー!
熱いよ、誰か!
逃げるんだ!!
先生、先生はどこ!
痛い、痛い
焼夷弾だ!
熱い、熱い

沢山の声が一斉に響いた。

全身から血の気がひいた。
私たちは駆け出した。

「ヤバイ! ヤバイ! 逃げろ!」
慶太がいった。

「なんなの!」
みなみは涙声だった。

私は階段を駆け上ると、トンネルを抜けるまで走った。

工事用の柵を乗り越えた時、腕をすりむいたが、そんなことにかまってはいられなかった。

私たちは、また駆け出し、コンビニの前まで来るとその場に座り込んだ。

息が苦しい。

4人は誰も口を開かなかった。
しばらくして、落ち着いた。

「なんだったんだあれ」
慶太がいった。

「とにかく、もう帰ろう」
晃は立ち上がった。