千尋side




朝。



支度を済ませて家を出る




アパートの下にいたのは……






『れいと………』








私が会いたくて仕方がない人だった












零「ちょっと……サボらねぇか?」










そう言って私にヘルメットを渡してきた







『うんっ』







もちろんついて行く









最初に乗った頃よりも




零斗のお腹にぎゅって手を回して















勢い良く発進したバイク









数十分後





ついたのは砂浜のある海







『きれー!』







どこまでも広がる海の上に





まだ出たばかりの太陽がある













零「お前と見たかったんだ」










そんな私にとって嬉しい言葉も




普通に言ってくれる零斗







今だ。言うなら今しかない。







零「あのさ」







'あのね'




そう言おうとした瞬間





零斗が先に口を開いた







『ん?』








零「昨日千尋が男と歩いてるの見た」







えっ、リキトのこと?勘違いしてる??






零「それ見てさ、すっげぇ苛立った」




『ちがっ……それはっ』





零「んで魁貴から彼氏じゃねぇって


聞かされて、すっげぇ安心した」






『………え?』






零「これ、意味わかる?」





『えーっと…………』






ぎゅっ






え?










今、抱きしめられてる?










零「俺、千尋が好きだ」






『…………………っ!!』








夢にまで見たサイコーのシチュエーション






いや。今起こっていることが




夢だと思ってしまいそうになる






零「千尋?」






言わなきゃ、





あたしも













想いを伝えなきゃ!













『……しも』






零「え?」







『わ、私も好き……零斗がすわっ!』




零斗が好き。





そう言おうとしたら






零「まじ?」







もっと強く抱き締められ







『う、うん……苦しいよ〜』






もはや羽交い締め状態になっていた









零「一生お前を幸せにする」








……………っっ!!






そんな言葉言われたらさ……






『一生零斗について行くよ』






あたしも答えるしかないじゃん











そして2人で海を見ながら




たくさん話した











付き合うっていう実感がなくて






不思議なふわふわした状態










さっきから心臓がうるさいのも







『零斗のせいなんだからっ』





零「何か言ったか?」










怖い思いもしてきた





もしかしたらこれからもするかもしれない







だけど









零「千尋?大好き……」








世界No.1の彼氏様がいますから









『あたしも………零斗大好き』








二人ならどんな困難にも




向かって行ける






乗り越えられる








そう信じ…………………













今日も仲間がいる倉庫へと










向かいます_________。









*fin*