2月の12日の夜の事でした。
急なメールがあなたから、内容は

『お前はもう受け入れられない』
『別れよう』

簡素なものでした。あなたはとても優しく私のことを第一に考えて行動する人でした。このメッセージを送るのに何日かかったのでしょう。

思えば3日ほど前から様子がおかしかったのかもしれない、思えばもっと前から。私は気づかずあなたにずっと、頼り、縋り、依存していました。気づけなかったことに後悔が募ります。気づければこんな話聞かずにすんだのではないか、と。

私は縋りました、嫌だ、離れたくないと。醜く酷く、縋りました。ですがあなたはもう、俺には無理だ、とそれだけ。

もうダメだな、と悟りました。わかった、ありがとう。それきり連絡はありません。あなたは苦しんでいないでしょうか。私が苦しめたのだけれど。こんな私にまた悩んでいるのでしょうか。

まだ私はあなたの心の中にいられているのでしょうか。




月日は矢のように過ぎ去りました。気が付けばバレンタインです。世はピンク色に染まっておりました。あのまま関係が続いていれば、今は、なんて考えが巡ります。

それを断ち切らせるようにメッセージが来ました。応援し、両方と友達であった子からでした。

『大丈夫?聞いたよ、気にかけてあげてって、言われた。彼もまだあんたのこも気にかけてるみたい』

と、まだあなたの心の中に私はいるのですね。忘れてしまえばいいのに。私はあなたを壊してしまったのに。

依存し、頼り、あなたも頼りたかったでしょう。なのに私の心配ばかり。だから依存されるのですよ、というものももう届かないのですね。

「恨まないの?」

いつかこんな事をまた違う友達から言われました。恨んだとしても、もう届かない距離にいるのです。恨んでどうなるのでしょうか。

バレンタイン、ですね。恋人という単語が溢れかえる甘い時です。寒空の下、雪を見上げながらあなたを想っています。重たいと言われても仕方が無いと思いますが、好きなのです。この言葉だけで片付けてしまうのもいけないと思うのですが、如何せん語彙力がなく、申し訳ないことにございます。

チョコレートを、準備していたのです、レシピも調べ上げ、材料もありました。無駄になってしまいましたが。いえ、無駄ではありません、私の家族の腹の中に入ることができました。

写真やメッセージを見るたびに辛くなる一方なのですが、まだ離れられそうにはありません。あと少し、あと少しだけあなたを想わせてください。知らなくても届かなくてもいいのです。自己満足なのですから。ふ、と携帯を見ました。いつかのあなたの笑った顔の写真。

『いいよ』

と聞こえた気がしました。
私はまだ、愚かにあなたが好きで好きでたまりません。いつか、いつかこのことも笑って話せるようになりたいと雪降る夜を見上げ、なぜか私の靴には雪ではなく大粒の雫が静かに流れてゆくのでした。

バレンタインですね、あなたにチョコレートを渡したかった。
願わくばあなたが幸せであるように…