「わあっ!?ご、ごめん!!」
『あんまり痛いようなら保健室行った方がいいよ、じゃあ』
「ありがとう!」
って、え?
違う、違う、違う!!
神崎君がクラスとは逆方向に歩き出す。
「神崎君どこ行くの?授業もう始まってるよね?」
『屋上でサボる』
「サボり・・・」
『じゃあ、バイバイ』
私は今まで学校に通っていて授業をサボった事はない。
勿論、仮病も。
遅刻や休みはあるけれど、ズルした事はないし、出れる時は必ず授業に出てきた。
けれど、この時。
歩いて行ってしまう神崎君の後ろ姿を見つめながら反射的に身体が動いてた。
「私も!私も一緒に屋上行く!!」
『・・・・・・好きにすれば?』
振り返り、少し驚いた顔をした神崎君は、直ぐに真顔に戻って言うと再び歩き出した。
その後ろを私は静かについていく。
不思議と授業をサボることへの罪悪感はなかった。
屋上に着くまでお互い無言で歩いた。
「暖かくて気持ちいいー!!」
入り口から近い場所に座る神崎君の横で、一度大きく伸びをしてから私は痛いお尻に負担をかけないよう、ゆっくりと隣に座った。
『なんでついてきたの?』
「え?」
『教室向かってたんだろ?』
「あぁ、うん・・・えっと・・・」
正直、理由はなかった。
ただ単に気になったから。
でもそんな曖昧な理由言える訳もなく。
「さっきパンツ見えたって本当?」
『それのため?』
「それもある」
『本当って言ったら俺は殴られたりすんの?』
「ははっ、それはないよ」
神崎君は無言になり、結局真相は分からないまま優しい風が吹いて髪を揺らす。