用を済ませてトイレから出ると、慌てて階段を下りる。
前を見ずに廊下を全速力でダッシュして間も無くだった。
突然右から人が出てきたかと思うと、勢い良く衝突してしまった。
ドカッと鈍い音と共にお尻に痛みが走る。
「いった〜・・・」
腰を摩りながら目を開けると、二本の脚が目の前に・・・
ゆっくりと視線を上げた先には鋭く睨みつける二つの目。
しかもその目は神崎君の目だった。
「ご、ごめん!大丈夫・・・?」
やばいっ!
ってかなんで神崎君がここに!?
痛さで動けないまま謝ると、私を見下ろす神崎君の手が顔の前に伸びてくる。
え・・・?
『早く立て。パンツ見えるから』
「う、嘘!?」
慌てて差し出された手を掴んで立ち上がる。
『ウソ』
え?
う、うそ・・・?
どっち?見えてたの?見えてないの?
『大丈夫?なんか凄い音したけど』
「うん、大丈夫」
もの凄い痛いけど・・・
「神崎君は大丈夫?ごめん、私急いでて・・・」
『俺は平気だけど。転けてないし』
「そっか、良かった」
『・・・・・・』
「・・・・・・?」
ん?
なんだろう。
なんか凄い見つめてくる。
しかも無言って・・・
どうしよう、どんな空気?
なんでそんなに見つめてくるの!?
『・・・手、離してくんない?』
「え?」
視線をしたに向けると、神崎君の手と私の手がガッチリと握手をしている。