清々しい青空が目の前に広がる。
まだ4月だけど日差しが暖かくて気持ちがいい。
気分は真逆だけど。
「加代の馬鹿ー!」
昼休み、屋上の隅に座りお弁当を広げながら加代を睨んだ。
「ごめんて。ほらジュース奢ってあげるから」
「もー、とんだ恥かいた!」
「でもさ、神崎君。凄いカッコ良かったよね?」
「んー・・・顔はそうかもしれないけど性格は分からないよ?」
貰った100%のリンゴジュースを一口飲みながら、彼の無愛想な顔を思い出す。
「優は本当に恋しないのね。あんなカッコいいのに」
「え?加代、好きなの!?」
「わかるー?でもきっとライバル多いよねぇ・・・」
まさかとは思ったけど、加代は神崎君に恋をしたらしい。
話をしたこともないのに。
確かに見た目はカッコいいけど・・・それだけで恋って出来るんだ・・・
ますます、私に恋は出来ない気がした。
「そういえば、さっき先輩達がもう神崎君の話してたよ?」
「もう?」
「うん、学校中の噂みたい。きっと狙ってる先輩沢山いるよね、コワ〜」
加代は両腕で自分を抱きしめるようにして身震いした。
「でもさ、なんで10日も休んでたんだろうね?」
「えー?そこがまたカッコよくない?ミステリアスな感じで!」
加代の大きな目がキラキラしている。
ダメだ・・・
何を言ってもカッコいいしか返ってこなそう・・・
昼休みが終わる10分前、加代と二人で廊下を歩いていると教室の前にやたら人が集まっているのが遠くから見える。