流石に教室にはもう誰もいないはず。
神崎君には明日ちゃんと謝ろう。
にしても静かな校舎。
廊下には私の歩く足音だけ。
冷静になると、お尻がまた痛みだす。
なんで神崎君は私を庇ってくれたんだろう。
神崎君って私が思ってるよりずっといい人・・・なのかな?
「え?」
考え事をしながら教室の戸を開けて思わず声が漏れた。
誰もいないと思っていた教室に一人。
しかも神崎君がいた。
『岡田じゃん』
な、なんで!?
待ってた?
「なんでいるの・・・?」
『俺のクラスだから』
「そうだけど・・・何してるの?」
夕日に照らされた神崎君は凄く綺麗で、栗色をした髪が赤く染まって見えた。
『ん〜、勉強?』
机を見ると、確かに教科書とノートが広げてある。
「なんで学校で勉強してるの?」
『学校は勉強するとこだろ?』
「確かにそうだけど・・・」
家に帰ってすれば?って言おうとしたけど、飲み込んだ。
なんか、あまり深く聞いちゃダメな感じがしたから。
『岡田帰らねぇの?』
「あぁ、うん。帰る」
机の横の鞄を握り、勉強を続ける神崎君をこっそり見つめる。