私、岡田優木(おかだゆうき)は15年間生きてきて、今まで一度も恋をしたことがありません。
そして10日前。
ついに恋をすることなく私は高校生になりました。

中学が女子中だったとか、女の子が好きとか、そういうんじゃなくて、ただ単に好きだと思える人がいなかった。
むしろ”好き”を考えれば考えるほど分からないでいた。

それは今でも変わらないけど。

カッコいいなぁって思う芸能人や先輩はいても、好きかと聞かれたら自信を持って”好き””愛してる”とは言えない。
友達曰く、それはただの憧れってやつで好きとは違うらしい。
でも、だからと言って、恋をしなきゃとか恋人がいなくて淋しいって思ったこともない。
友達も焦る必要はないって言ってくれるし、運命の人は必ずいるらしいから。

『出欠とるぞー!席につけー!』

チャイムが校内に響き、担任の福澤先輩がチャイムに負けないくらいの大きな声で言う。

「ねぇ、優。優の隣りの席の神崎君。今日も来てないね」

私の後ろの席の小沢加代(おざわかよ)が小声で話かけてくる。
加代とは中学の入学式の日に話して以来、三年間ずっと仲良しで親友だ。
彼女は身長が145cmと小柄。
髪は茶髪でボブが似合う、とても可愛い女の子だ。
中学でもモテていた。
恋をしたことがない私に焦らなくても大丈夫って言ったのも加代だった。

「そうだね。学校辞めたのかな?」
「えー?一回も登校しないまま?」

悔しがる加代の気持ちが少し理解できる。