貴方に夢を。私に心を。


切なさと苦しさの入り混じった瞳は後悔を写している。



「私にはねー……。」



柚はゆっくりと海に向かって手を伸ばした。



何か大切なものを取り戻そうとするみたいに。



「全てを呑み込んじゃうようなこの海が。」



浅く握られた手は、やっぱり何も掴むことができなくて。



なんだか、寒くなって思わず腕をさすった。


私達の存在するこの場所が



「………悲しい色にしか見えないんだ。」



暑いのに冷たかった。