AM7:45。


 いつもの駅に早く着き、ベンチに座り、昨日買ったばっかりの小説を手に取る。


 ――私もこんな恋したいな。


 そう思った瞬間、強い風が吹く。


 風がやむと私は手櫛でぼさぼさになった髪を元に戻す。


 「今日風強いな――「そうやね。」…は?」


 後ろから低い声が(しかも変な方便(?))した。びっくりして振り返ればそこには



 長身で、きれいな黒髪に切れ長の目。肌もきれいで、ニキビ一つない。



 だからこそ、見惚れた。


 「どないしたん?」


 「えっ!?…っと、」


 なんか言わなきゃ~!!


 「目、見えてるんですか?」


 …最悪。やっと出た言葉がこれ。第一印象絶対最悪だよぉ~!!


 「クスッ見えとるよ?」


 ……見えてるんだ…(そこかよ)


 「っあ!私、加藤鈴!カトウリン!貴方は!?」


 「俺?俺~は、渡辺奏。わたなべかなで。よろしゅう。」


 どくとくなしゃべり方。少し聞き取りにくいけど、優しい笑い方をする人だなって、思った。


 「あ。鈴チャンこれ。あげるわぁ。」


 「え?」と聞き返すまでに渡された小さな飴。それは私の大好きなイチゴミルク味の飴だった。

 …ってか呼び方!!

 いいのかな?

 じゃあ…私は、


 「かなチャン…アリガト。///」

 赤くなりながらも、お礼を言う。…赤くなりすぎてる?なんか…恥ずかしい!!!