『お父さんの会社が倒産して茨城県に引っ越してきた。
寝てる間に引っ越したみたいで、もう龍くん
会えないんだって。
本当は嫌だって言いたいけど、お父さんとお母さんは一生懸命働いてくれてるから我が儘は言えない。
私、龍くんのこと忘れないといけないのかなぁ?』
その次のページからは、毎日会いたい、遊びたい、寂しいなどの言葉で溢れていた。
そして、その日記は記憶喪失になってからは途切れていた。
「ここまでか………」
日記が途切れているのは、6歳の冬だった。
それからは何も記入されていなかった。
「なぁ、神谷……………」
「はい。」
「俺、唯那の過去を受け止めるなんて綺麗ごと言ってたけど、今は自信がない。
唯那の抱えていたものは、俺が考えていたものよりも残酷で、俺は唯那の気持ちを分かってあげれない。
そんな俺が、唯那を支えられるのか。
唯那をまた笑顔にすることが出来るのか?」
俺は、唯那を支えたい気持ちはある。
だが、どう支えるのが唯那にとって幸せになれるのか。