リビングに戻ると、ソファーに座るように言われゆっくりと腰を下ろす。
神崎は俺のすぐ横の床に座った。


「飲み物はお茶でいいかしら?」


唯那の母親はお茶の乗ったお盆を持ってリビングに入ってきた。


「はい、ありがとうございます。」


唯那の母親は俺と神崎の分のお茶を置くと、向かいのソファーに座った。


「唯那の過去、お父さんのことだっていうことは知ってるみたいね。」


俺が唯那の父親に挨拶をしたいと言ったことで気付いたみたいだった。


「はい、唯那が記憶を取り戻した時に『お父さん』って言ったのを聞いて………その後すぐに過呼吸になったので、その後は聞けなかったのですか。」


「それで私の所へ来たのね…………
わかったわ。あなたには、私たち一家が東京で暮らすことになった理由から話すわね。」


「はい、お願いします。」