唯那の家に来たのは、唯那を迎えに来て以来だった。
家の雰囲気はあの頃とは何一つ変わっていなかった。


リビングに案内されると、唯那の母親はお茶を入れにキッチンに立つ。


「あの、唯那のお父さんに挨拶をさせていただいてもよろしいでしょうか。」


「はい、そちらの部屋におりますから」


そう言われ、言われた部屋に入ると、お仏壇には唯那の父親の写真が飾ってあった。


この人が唯那のお父さん…………


眼鏡を掛けていて、とても優しそうな顔をしている。
目がどことなく唯那と似ていた。


俺は線香を立てると、軽く頭を下げた。


今まで、唯那を見守っていただきありがとうございます。
これからはお父さんに変わって、俺が唯那のことを守ってみせます。


そう、心の中で誓うと俺はリビングに戻った。