「西園寺さん………………」


唯那の母親はドアを開けると、玄関の前に立つ俺の姿を見て、何をしに来たのかを悟ったような顔をしていた。


「お久しぶりです。」


俺と神谷は一礼する。


「西園寺さんがここに来られたということは、唯那は全て思い出したのね………」


唯那の母親は何かを覚悟したような顔をしている。
やっぱり唯那には何かがあったのか。


「はい。今、唯那は全てを思い出した反動で気を失っていますが、我が西園寺家の専属医師が診ていますのでご安心ください。」


そう言うと、唯那の母親はとりあえず一安心したような顔をする。


「やっぱり、あの子が受け止めるには早すぎたのかしら……
でも、あなたに預けたことは正解だったみたいね。
唯那の過去についてわざわざ茨城までいらしてくれたのですね。
さぁ、お入りください。あなたには全てお話致します。」


そう言われ、俺達は唯那の家にお邪魔する。