そんな悲しい過去を思い出していると、突然 フェンスの上から勢いよくボールが飛んできた。そのまま目の前の木に当たると、見事に私の顔面めがけてアタック。

「っ〜〜〜〜〜?!」

痛みの声をもらしていると、センパイが心配そうに私のところにやって来た。

「だ、大丈夫?ごめんね…ケガは?」

「え!あ、大丈夫ですっ!」

「そう…でも、一応保健室に行った方がいいよ。僕が当てちゃったんだから一緒に着いて行くよ。立てる?」

「あ…ありがとう…ございます…」

夢みたいだ。センパイとこんなにいられるなんて。もう…悔いはない…!

保健室に到着。部屋には私とセンパイの二人きり。

「…っと、手当完了!ごめんね。痛かったよね…」

「全然大丈夫ですっ!手当てありがとうございます!」

「君、名前は何ていうの?」

「井上…井上舞です。」

「舞ちゃん…でいいかな?」

「はっ、はい!それで全然!」

嬉しい。嬉しすぎる。憧れのセンパイに名前で呼ばれるなんて…胸がいっぱいだ。