俺たちが陣を張っていたのは小さな教会だった。

 さすがに宗教的建造物には敵も手を出すことはできないようで、俺たちにとっては数少ない安全な場所だった。

「血が出てる。アレン、大丈夫?」

 声をかけてきたのはエリィ。最近結婚したばかりの俺の愛する妻だ。

 看護師として、この教会で傷ついた兵士たちの手当てをしている。

「これくらい大丈夫だ。お前は他の怪我したヤツのところへ行ってやれ」

 そんな俺の言葉に、素直にうなずくエリィ。

 しかし、立ち去る後ろ姿は少し寂しそうだった。