「何でもないって。ただの世間話。」
「ったく、そんな暇あったら練習しろよな…。」
「いいじゃん、一日くらい。それに、今日は結乃ちゃんの転校初日だよ?神器を作る家としてのプライドがかかってるのも分かるけど、もうちょっとゆっくりしてもいいんじゃない?」
先輩が胸ポケットに差していたボールペンを器用に回しながら言う。
「神器?」
「結乃、昔から俺ずっと言ってるだろ、桜ヶ城家は代々神器を作ってるんだって。」
「…ごめん、全然覚えてない…。」
「…。」
翔は何も言わなくなった。怒らせちゃった…かな…。