「凰。」
シーが言った。
「結界って、実は消す事ができるって知ってたかにゃ?」
「結界を…消す?」
「そうだにゃ。結界っていうのは、いわば防御魔法の塊なんだにゃ。固まったせいで攻撃魔法じゃ壊すのは無理だけど、防御魔法を解除すれば結界は消せるんだにゃ。」
「なるほど…でも、解除ってできるのか?」
「そこは、このケット・シーにお任せあれだにゃ。」
そう言うと、シーは何やら魔法を詠唱し、光の球を作った。それを空気に当てると…。
「…?」
「結界同士の結束を緩めたにゃ。あとはここに攻撃魔法をぶつければ…。」
シーは、続いて火の玉を結界に当てた。すると…。
「あっ…!」
空気に、小さいながらも穴が開いた。
「あとは、これを繰り返せば抜け出せるにゃ。」
「すごい…。」
私はすっかり舌を巻いていた。やっぱり、すごい魔獣だ、シーは。…たまにとんでもない事をやらかしたりするけど。