私は近くに落ちていた、先のとがった木の枝を拾った。そしてその先端を、腕に突き刺した。
「ちょっ…何してるんですか、先輩!」
抜いては刺し、抜いては刺した。何度も何度も、鋭い痛みが私の腕を駆け抜ける。だが、もはや何も感じなくなっていた私は、何度も何度も突き刺した。
「やめて下さい、先輩…。」
「はぁ、はぁ…。」
人はこれを「錯乱状態」と呼ぶんだろうか。もはや私は私ではなかった。狂っていた。何も考えられなくなっていた。もう、死のう…。
「やめて下さい!」
凰くんが叫んだ。その目には涙が溜まっていた。私の腕からは血がドクドクと流れ、刺すたびに血が飛び散った。それは凰くんの服にも多少ついていた。
「諦めないで下さいよ!」