死神「てへへ、このスイーツ美味しいねーっ」
スイーツだらけのお店で甘党な死神と甘党なヴァンパイアの俺様と鬼がケーキバイキングでケーキを食いまくっていた。
ヴ「ハァー、甘いものだらけってのも流石にくどいぜ…」
鬼「アンタねぇ、女の子なんだからもうちょっと言葉遣い丁寧にした方が良いわよ」
…指摘されるのは腹がたつ。
まぁ、そんなイラダチもこの甘い香りに吸いとられる訳だが。
死神「イヤー、僕ね…一度此処に来たかったんだよ、二人ともありがとう!」
そういうと死神はクリームだらけの顔でニコッと笑った。
なんつうか、コイツは悩み無さそうというか、本当にガキっぽくて…
まあ、俺様がただかわいいと評価してやってるだけなのだがな。
鬼「…ってことでアンタ、緑茶持って来なさい」
…意味不明だ。
ヴ「ハァ!?何故この俺様が!?」
俺が叫ぶと鬼が呆れたような顔で此方を見つめて来た。
鬼「くどいとかいってたわよねー。三人分の緑茶もって来なさいよー」
これが人に、いやヴァンパイアの俺様に物を頼む態度かと聴きたくなる。
死神「ヴァンちゃん……」
死神が困ったような目で此方を見てきた。本当、鬼と違って優しいヤツだ…と思った刹那、
死神「僕、カルピスがいい!」
…コイツらは。
仕方なくというかもう面倒になってカルピスと緑茶とトマトジュースを持ってきた。
全く、コイツらは自分のことしか考えてない。
まぁ俺様もそうなんだが。
死神「ありがとう~!」
鬼「ちょっと量が多いわね、まぁ、アンタにしては上出来かしら?」
なんなんだコイツ。
ヴ「文句言うくらいなら自分で入れてこいよブス」
わざと聴こえるように言ったものの…
ハイハイごめんなさいねぇと言われて終わった。そうゆう大人な態度を取られるのが一番ムカつくしタチが悪い
俺様の顔を見て察したのか死神が話題を変えて話かけてきた。
死神「ま、まぁ、ヴァンちゃん、最近命の方はどうなの?」
俺様もまぁ、自分の事だし、況してや大切な話だから無視することは出来なかった
「ん…あぁ、あと二ヶ月半くらいかな…なんだ?俺様の心配か?」
ヴァンパイアには体内年齢というものがあり、ソレの期限が切れると死んでしまうらしい。期限を伸ばすには血を飲む必要があって、スイーツ等本当は食べなくても良いのだ。
…まぁ、人間の頃は良く食ってたからな
それに、一度死んだ俺様が二度死ぬことなんてあるはずが無いんだが。
死神「そ、そりゃあ…ヴァンちゃんが居なくなっちゃったら…」
悲しそうな顔をする死神の横で嬉しそうに鬼は
鬼「お金の無駄使いが無くなって経済的に安定するわね。」
…とほざきやがった。
腹がたって俺様が悪口を言おうとすると死神が俺様の口の中にケーキをつっこんだおかげ(?)いや、正確にはそのせいでただ鬼の攻撃を受けまたもこの一方的な苛立ちは終わった。
…これじゃ俺がドMみたいじゃないか、そう思った。
まぁこんな苛立ちもトークも人間だった頃じゃ出来なかったからムシロこんな怪物みたいになって良かった気がする。
血が欲しくて欲しくてたまらない俺と全てを切り尽くしたい鬼と周りを不幸にしてしまう死神。
こんな怪物が人間の振りをして何気なく生きている事が凄く幸せだって思える。
それほど不幸って思ってしまうような悪夢が…俺様たちにとっては“普通”なんだ。
まぁ俺様たちが人間なら、こんな面倒くさいくだらない生き方はしないだろう。…というか死んでるんたけど。
それでも、この生き方にはこの生き方の良さがあるからな。
吸血鬼の俺様ならそう思える。
ま、今が良ければ全て良しだな、いつ死ぬかも分からない夜があるから。
日中にこうしてケーキガツグイしちまうのはそのせいなのさ。
…それと、ここのケーキが凄く美味しいから。
ヴ「文句無しだけどやっぱりくどい」
こんな話をしながらひとつのテーブルを三人で囲んで笑っていた。
そしたらケーキバイキングの時間が少し長引いててお金が余計に取られてしまった…。
気がついたら空はオレンジ色。
赤い色が血に見えてしまうのが少し残念だけど。
コイツらの前ではシケた顔も出来ないな、何て思いながら“真の姿”になった。
別に、恐ろしい怪物とか変身とかじゃなくて、服装変えるだけなんだけどな。
三人共決められた“魔女の服”に着替えて、戦闘地へ向かった。
魔女の服とは、俺様たちは本来本当に守りたいものがあって魔女に頼み込んで今の姿がある。
魔女は「ある目的」の為に俺様達に、魔物と戦えと言うのだ。
まぁ、戦わないと消されるかお仕置きか拷問か…まぁ、良くないことがおきるのは確かだから。
そんなこんなで歩いていると目的地の半分以上から、ふとまがまがしい雰囲気が全身に伝わるような気がした。
死神「ぅ……ぁ…ぐるしぃー………」
死神はこうゆうのは苦手みたいだ。
鬼はこうゆうまがまがしい雰囲気大好きなんだがな…(本当性格も趣味も悪すぎだ)
誰にも気づかれないこの魔女の服で俺たちは魔物と戦わなきゃいけない。
まぁ、それでも叶えたい夢があるから叶えるんだ。
余命三ヶ月ぶんの血しかない手首をかみちぎり、俺は血の武器を出した。
太刀だ、俺はこの武器を愛用している。魔物からは血がとれるからどんどん切るつもりだ。
鬼はただの大剣、だが、スピードは誰よりも早く力も強い。
死神は鎌まぁ俺たちはスピードはかなり早いが魔物よりは比べ物にならないくらい体力が少ない、この勝負でいつ消えてしまうかも分からないくらい。