ピッグ事件の時と同じように、全体朝礼が行われた。

教頭の熊田 英一郎(クマダ エイイチロウ) が壇上から生徒を見下ろした。

…………。


「今年に入り、事件が続いています。残念ながら今朝、また事件がおきてしまいました」
教頭は話し出した。言葉は丁寧だが、力がこもっていた。

熊田は生徒に人気がある。曲がったことが嫌いで、なかなかの熱血だが、生徒の相談にのったり、優しい面もあった。

親身に話を聞き、個人的なこと、例えば恋愛の相談にも耳を傾けたりもしていた。
よって、生徒には人気があった。
何故そんな優しい教頭がバックヤードユニオンなんて作ったのか。
それは誰にも分からなかった。