しばらく部活はひまだった。

部室には私と、のぞみだけがいる時間が増えた。部長はあまり姿をあらわさなかったが、気にしなかった。



***



放課後、部室で私は本棚の整理や、掃除を始めた。
いつまでも、こう汚くちゃな。
どれ、やってみっかね。

そこにのぞみがやって来た。


「掃除か?」
「はい、やることもないし」
「そうだな、俺も手伝おう」


「先輩?」
私は本棚のほこりをとりながらいった。

「何だ?」

「…………」

「何かあったのか?」

私はくるりと体の向きをかえ、のぞみを見た。

「恋ってしたことあります?」

ぞうきんを持ったのぞみの手がぴたりと止まった。