次の日。


授業が終わり帰り支度をしていると、牧野先生が私を呼び止めた。


「どうだ、うまくやれそうか?」
「何がです?」
「あの二人は変わったところがあるからな」

「あ、部活のことですか?」
「そうそう。ま、頑張りな」
「しかし探偵部を選ぶとはなかなか君も変わってる」


「へ?」


「何だ変な顔して」


私は走り出した。息があがるころ部室に着いた。

優介とのぞみは本を読んでいた。

「あの!」
私が大きな声を出すと、二人は顔を上げた。

「何?」
のぞみが口を開いた。

「考古学研究部ですよね?ここ?」
「ああ、ドアの看板か。あれは前にこの部屋使ってたクラブのだよ。今ここは探偵部」

「たんていぶ?」

「そ」

「私勘違いしてました。考古学研究部だと思って」

パタンと音をたて、優介が本を閉じた。
そして立ち上がった。
背が高い。髪はぼさぼさで耳が完全に隠れていた。

「考古学なんかよりもっと楽しいぜ。ロマンもスリルも桁違いだ。後悔はしないだろうよ。なあ結城?」

「俺を巻き込むな。やりたいかやりたくないかは南雲が決めるべきだ」
のぞみは自分を俺といった。


「考古学研究部はとっくに廃部。どうする?」
のぞみは私を見つめた。


どうしよう。嫌なら辞めればいいんだもんね。しばらくやってみようかな。
他の部活探すのも面倒くさい。


「よろしくお願いします」


「決まりだな。そうそう、大事なことがある。俺を呼ぶ時は工藤と呼ぶように」優介は真面目な顔でいった。

後になって分かったが、工藤とは昔の探偵ドラマの主人公で、部長は松田優作をリスペクトしているのだった。