「何故ならピッグ事件は入念に調べて、人のいない盲点をついているからです。
それにさっき落書きを見ましたが、非常にへたくそな字で書いてありました」

「つまり?」

「つまり、犯人は筆跡鑑定を受けても平気なようにきき手の反対の手で書いた可能性が高いです」

「なるほど。さすがだ」

牧野はうんうん、と深くうなずいた。
「なあ、教師が生徒に調査依頼を出したらやはりまずいか?」

「そんなことないっすよ、先生。早く動きたくてうずうずしてまさあ」
部長がいうと、とたんシリアスな空気が崩れる。

「副部長、受けるべきかい?」
「部長のお前が決めろ」
「先生、聞いてのとおりです」

「良かった。くれぐれも内密にな」

「分かってます」
のぞみが答えた。