「皆さん落ち着いて」
牧野は教室を見渡した。

まだ教室は騒がしい。
当然落書きのことを話している。

「増田、静かに」
増田は牧野に注意をうけた。

だんだんと教室は静かになった。

「君たちが動揺するのは分かる。先生も驚いている。だが犯人は、みんなが動揺すればするほどつけあがる。これは挑発だ。だから挑発には乗るな。そう、そうあるべきなんだ」

牧野はそういったが、ちっとも説得力がなかった。
まるでマニュアルを棒読みしてるみたいに、声によくようがない。


〈教師マニュアル〉

重大な問題が起きた場合。
冷静に状況を判断し、さわぎをしずめること。


と、こんなテキストがあるのかもしれない。