教室に入り、席につくと隣の茜が声をかけてきた。

「ヤバくない? 誰がやったんだろう?」
「ヤバい。気味が悪かった。ぞっとしたよ」

真っ黒のスプレーで殴り書きというのは無言の恐怖のようなものがあった。
むかーしのドラマに出てくる不良だらけの学校を思い出した。

とはいえ、今は平成だもんな。

牧野先生がガラリとドアを勢いよく開けて教室に入ってきた。