「ずっといえなかったけど、俺は君が好きだ」

私は何ていえばいいんだ?

雪見の気持ちには前から気づいていた。

私は雪見を利用していた。

雪見は何でも話を聞いてくれた。

でも、私の胸はときめかなかった。

ちっともドキドキしなかった。

「返事を聞かせて」



…………



「ごめん。付き合えない」


しばらく雪見は無言だった。
プツプツと電話の音が永遠を刻むようだった。

「そうか。そうだよな。映美には好きな人がいるんだからな」

「ほんとにごめん。自分が苦しい時だけ頼ったりして」
私は自分が憎かった。
ぞっとした。
私は最低なのかもしれない。

でも雪見の気持ちには応えられない。
だって私は増田が好きだから。

好きで好きで好きで、たまらないから。

やっと気づいた。私には増田しかいない。
雪見本当にごめんなさい。
許してくれないよね。

「スッキリした」

雪見がいった。

「え?」

「いいたいことを全部いったらスッキリしたんだ」

「雪見、ごめん」

「いいんだ。こうなると分かってたから。ただ、思いを自分の中に貯めていられなかったんだ」

「雪見、ありがとう」

「幸せになるには全力でそれを求めるんだ。自分の中に置いてるだけじゃ何も変わらないから」

「そうだね」

「俺はランニングの時間だから、またな」

「雪見、試合絶対に勝ってね」

「ありがとう。じゃあな」