私は濁流のように教室から吐き出される生徒に混じって、廊下に飛び出した。

大丈夫そうだ。早く帰ろう。
速歩きで校舎から出たところで、捕まってしまった。

「一緒に帰ろう」

茜がすっと近づいてきた。

「うん、いいよ」
とはいったものの、内心は冷や汗をかいていた。


「増田君、映画断られたの」
茜は目をふせた。

「そ、そう。残念だったね」

「どうしたら振り向いてくれると思う?」


…………。