京子さんは早速、一つ目の段ボールを開け始めた。


一体何箱あるねん・・・?


「あっ、京子さん。 そう言えば何を探せばいいんですか?」


「あっ、ごめん。 言ってなかったね?
えっとね、この商品なんだけどね・・・」


京子さんはポケットから紙を取り出すと地面の上に広げた。


「このスウェットのパーカーなんやけど、
黒とグレー、あと白もほしいらしいねん。
この3着探してくれるかな?」


俺は京子さんの背後から広げられた紙を覗き込む。


しかし京子さん、近くで見るとすごく華奢やなぁ、腕も細いし。
いくら力仕事してるからって、やっぱり女性なんやなぁ・・・


俺は広げられた紙も全然見ないで、
京子さんの後姿からの斜め45度ばかりを見ていた。


こんなに華奢で女性らしい体やのに、
子供産んで育ててるんやなぁ~女性ってたくましい。


そんな京子さんの後ろ姿を眺めていると、ふと抱きしめたくなった。
それは疾しい気持ちじゃなく、
『ただ抱きしめたい、この背中をやさしくつつんであげたい。』
そんな気持ちからの衝動だった。