本当はもっと話したかった。

いちかに伝えたいことがあるよ。




「どうだった? 」


優しく微笑む仁を抱きしめた。





「もっと…もっと伝えたいことがあるのに…伝えられなかった。 」



肩にそっと顔をすすりあわせた。



仁のTシャツの肩の部分は、涙でいっぱいになる。



「 なら、手紙かけば? 」




「手紙? 」





「 …うん。 実際、届けることはできないかも知れない。
けど、心を通じて、届くはず。
書くだけなら、できるだろ?」




「 そう…だね。
仁、ありがと。」





私は、急ぎ足で車椅子を押す。