「ねぇ、仁。 」
「 ん、なんだ?」
「死が怖いよ。
ねぇ、なんで人って死ぬの?」
「 それは、俺にもわかんねぇ。
でも、人には人の”運命”があって、 それは生まれたときから決まってるんだ。」
「そんなのいやっ…
そんな運命なら、私はいらない!!
私はもっといちかと一緒に居たかったよぉ…。
うっ…うわぁぁん。うぅぅ。」
髪を結んであげたかった。
一緒にショッピングしたかった。
恋バナしたかった。
もっと、その頬を撫でてあげたかった。
いちかは、私にたくさんのことを教えてくれた。
生きているっていうこと。
生きることがすばらしいってこと。
いちかが教えてくれたの。
それなのに……私は…っ。
何一つ…できなかった。
いちかのために何もできなかった。
いちかは私を姉だといって慕ってくれたのに。
姉らしいこと、何一つできなかった。