「 う…うう。
いちかっ…いちか…!」
車椅子からずるずる落ちていく私を、仁は抱きしめた。
「 夢。
いいから、思いっきり泣け。 」
昔の鮫斑先生も似たようなことを言っていたな。
「 いちか…いちかぁぁっ! 」
大粒の涙。
涙で前が見えなくなる。
見えなくなってもいい。
どうせ、その先にいちかはいない。
まだ、13歳だったのに。
昔、鮫斑先生が娘さんの話をしてくれたとき、先生がいっていたことと同じ思いなのはどうしてだろう?
あぁ。
わかったよ。
私はきっと、いちかを本当の妹みたいに接していたんだね。
いちかは私の最高の妹だったんだよ。
短い間だったけど…
でも、私たちの思い出は決して小さくなんかなかった。