鶴を一つずつ、糸で繋いでいく。


100羽ずつにして、全部で10個。



繋ぐのは、簡単ですぐ終わった。



「できた…。 」




目の前の見事な鶴。




その鶴をそっと撫でた。




綺麗…。




車椅子に乗り、みんなの方を向く。






「みんな、私と一緒に鶴を折ってくれてありがとう!本当にありがとう。」



感動して、涙が出そうだった。


でも、今は泣かない。



泣くときは、いちかが目を覚ましたとき。


それまでは、泣かないよ。




「今から、仁と責任持っていちかに鶴を渡してきます。
いちか、きっと目を覚ましてくれるはずだから…だから、それまで待っててください!
本当に…みんな、ありがとう! 」


私が病室から出るとき、

「 いってらっしゃい!」



そうみんなが言ってくれた。



送り出すときのみんなの笑顔が、
とても嬉しかった。



千羽鶴に託した想い。



いちかに届きますように。