よくわからなさそうな顔をしている仁に、耳打ちをする。
「 あれ、佐伯さん!
私の隣の病室の佐伯一花ちゃんのお母さんね。」
仁は、親指を立てて、私の車椅子を前へとおした。
「 佐伯さん!」
「あ、夢ちゃん…。 」
佐伯さんは泣いてた。
けど、私を見てハンカチでそっと涙を拭いた。
「 あの、そちらは?」
仁の方をチラリとみた。
「あ、俺は、夢の…夢の…? 」
あ、そうだった。
私たち、まだ付き合ってないのか。
どんな関係だと説明するのかな⁇
「 俺は、夢のファンです。
赤坂仁です。いつも、夢がお世話になっています。」
そういって、深々とお礼をする。
フ…ファン!?
吹き出しそうになったけど、私は笑いを堪えた。
こんな場所で、笑っちゃダメだよね…
「 あらまぁ、こちらこそ… 」
「 ところで、いちかはどうしたんですか!?感染症とは…。」
私の疑問に、佐伯さんは丁寧に答えた。