もう一回ぎゅっと抱きしめると、彼も背中に手を回す。
そのとき、私は自分の背中が濡れているのを感じた。
涙…。
仁が泣いてる。
見えないけど、すすり泣く声がそう思わせる。
「なぁ、俺…どうすればいい?
どうしたら、家族を救える?
俺、もう殴られたくねぇよ。
痛いっての… 」
「 仁。
ごめんね、私は何もできないよ。
でもね、私…応援してる!
仁の家族が仲良くなれますように…って。
あと、いつでも話にのる。
困ってたら助けるよ!
だから、仁。
泣かないで。いつらでも笑ってて。」
「 頑張る…
なぁ、俺寂しい。
家に父さんだけのときがある。
もしかしたら、このまま殴り殺されるんじゃないか…って。
震えがとまらねぇ。」
これは、彼の”孤独”。