私はあなたに寄り添えていますか?
あなたの心にある”孤独”を埋められていますか?
仁には”孤独”がある。
私がその”孤独”を知ったのは中3の夏だった。
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とある夏の日のデート。
いつもの坂道…
時は6時。もうそろそろ、帰る時刻に近づいていた。
坂道の途中で彼は私のおでこに優しいキスをした。
当時、背は仁の方が2cmだけ大きくて、キスするとき、彼はちょっとだけ背伸びしていた。
仁は恥ずかしいのか、照れながら「また明日 」って言う。
そして、私たちはそれぞれの家の方に向かう。
それがいつものデートだった。
この日も何も変わらなかった。
けれどもその日、家に帰ったとき
仁のパーカーを貸してもらってたことに気付いた。
「 やばい!母さん、仁の家までパーカー返しに行ってくるね!! 」
「 なるべく早く帰ってくるのよー?」
腕を組み、呆れた顔の母さんはため息をつく。
その母さんの顔に「ご飯粒がついている」とは、あえて言わない…。
母さん、ドジだからな…
私がドジなのは母さんのドジさが遺伝した…ということで…
ダッシュでサドルにまたがり、自転車を一生懸命漕いで、
私は坂道を超えた。