「 それよりも、夢。
鮎川に言うことあるだろ?
言うこと、あるだろ⁇ 」

含み笑いをした仁の顔を見て、はっとした。




「 じゅん! 」





車椅子を彼の方へ動かし、彼の名前を呼んだ。




悲しそうな顔をした彼はそっと頷き、笑った。




「わかってる。 」





何も言わない私に向かってそう言った。





それは私に聞かせるよりも、じゅん、自分自身に聞かせるようだった。







「 じゅん…。私、好きな人がいるの。だから、別れてほしい。」






この一言を言うのに、私はどれだけ苦労したんだろう。





やっと言えた。





私は内心ほっとしていた。