「 仁。
赤坂仁。
私のだいすきな人。 」



車椅子を引く音が虚しく響く。





私が見つめるその先にはキョトンとした顔の仁。







「 夢…まさか…。まさか…だよな。 」






「 頭良くて運動神経が良くて、私のこと愛してくれた、最高の彼氏。 」





涙が流れ落ちる





そんな涙が私の手の甲に落ちる。






「中2のとき出会ったね。
出会ってすぐ、恋に落ちた。
私のこと気遣ってくれた。
いつも笑って、話すだけで幸せだった。一目惚れってやつだね。 」





光の加減か…彼の瞳がキラキラ輝いて見える。




ううん…違う。




彼も泣いてる。





仁はゆっくり口を開く。




「 付き合ったのは中3の春だったな。
急にmailで告白されたぜ。びっくりしたんだぞ。でも、嬉しかった。
俺も、いつの日にか咲田夢という存在が特別になっていった。
俺も恋に落ちてた。 」




涙が止まらない。